JR芸備線の備後庄原(広島県庄原市)―備中神代(岡山県新見市)間の存廃などを議論している「再構築協議会」の幹事会が、19日に書面で開催された。存続の可能性を調べるため、増便や列車の観光コンテンツ化など9項目6施策の実証事業について、7月から着手することを決めた。事業費は1億円で、半分は国の補助金を活用する。
会の幹事長を務める中国運輸局の幹部らが22日、広島市中区の同局で会見を開き、議論の内容について説明した。
実施が決定したダイヤ改定は、住民向けと観光客・来訪者向けに分けられる。住民向けは通学で使う高校生らが主な対象で、秋以降に夕方の時間帯を増便。観光客・来訪者向けは7月から11月にかけて、新見―備後落合間、三次―備後落合間で土日祝の日中にそれぞれ1往復ずつ増やす。
このほか、ラッピング電車や駅マルシェの実施、駅周辺の空き家を活用した移住体験プログラムの提供などにも着手する。協議会は事業の経済効果を分析し、今回の事業とは別に、最適な交通体系を探る実証事業も実施したい考えだ。
同局の阪場進一・交通政策部長は、実証事業について「20年、30年後の路線を地域のみなさんが考えるきっかけにしてもらいたい」と話した。